賃貸住宅を借りるとき、「家賃保証会社」の契約を求められることが増えてきています。実は、そんな家賃保証会社では、家賃滞納者の情報を会社間で共有しているの、知ってましたか?
家賃保証業界はいくつかのグループに分かれており、それぞれのグループに所属する企業同士で、家賃支払いの滞納状況や、原状回復日の滞納状況など、事故情報が共有されています。
1社で滞納すると、芋づる式にブラックリスト化
ご察しの通り、実際に滞納を発生させた保証会社はもちろん、滞納情報を共有している保証会社でもブラックリストに載ってしまい、その保証会社を利用することができなくなってしまいます。
保証会社グループは、大きく4つに分かれている
現在主流となっている各家賃保証会社は、大きく分けて4つに分けることができます。
- ①信販系保証会社
- ②LICC(全国賃貸保証業協会)系保証会社
- ③CGO(全国保証機構)系保証会社(旧LGO 賃貸保証機構)
- ④独立系保証会社
これらのうち、①②に属する保証会社では、積極的に信用情報(滞納履歴など)の共有を行なっているため、いずれか1社で滞納歴があると、同じ団体に属する保証会社の審査は高い確率で否決されます。
信販系保証会社
信販系保証会社とは、クレジットカードやショッピングローンの信用情報であるCIC(指定信用情報機関)やJICC(日本信用情報機構)を照会することができます。
そのため、クレジットカードの利用・スマホの割賦払い・消費者金融での借り入れなど、家賃の支払い以外で過去に事故がある場合に、審査の障害になることが多いです。
家賃の滞納をしたことがなくても、『消費者金融から多額の借金をしている』『クレジットカードのリボ払いがいつも遅れている』『スマホの料金を払い忘れたことがある』という方は注意が必要です。
一方で、②③④の保証会社とは事故情報の共有をしていません。そのため、例えば②の保証会社で滞納の履歴があっても、クレジットカードや携帯の支払いがしっかりしていれば、そこまで心配する必要はありません。
審査通過の目安としては【クレジットカード審査に通るなら大丈夫】というイメージです。
信販系の家賃保証会社と言えば…
- ライフ安心プラス
- オリコ(元リクルートフォレントインシュア)
- エポスカード
- アプラス
など、家賃保証以外でも社名をよく目にするクレジット会社が名を連ねています。
LICC(全国賃貸保証業協会)系保証会社
一般社団法人 全国賃貸保証業協会という団体に所属している保証会社で、①の信販系保証会社のようにCICやJICCといった信用情報の照会はできません。一方で、団体独自でデータベースを作成し、契約者の申し込み情報や家賃滞納状況を共有しています。
ここに所属している保証会社で事故(滞納や虚偽情報での申込)履歴がある場合、同じ系列の保証会社の利用は難しいと考えていいでしょう。
審査は厳しい印象で、正社員の方でも、他に連帯保証人を用意するように言われることもあります。
LICC会員一覧:http://jpg.or.jp/member02.html
その中でも主要な保証会社と言えば・・・
- 全保連
- ジェイリース
- アーク賃貸保証
特に全保連は保証会社の中でも老舗で、全保連の保証を導入している不動産管理会社も多い状況です。
CGO(全国保証機構)系保証会社(旧LGO)
一般社団法人 全国保証機構という団体に属している保証会社で、CICやJICCの信用情報の照会はできません。②のLICCとは異なり、同じ団体に属しているものの事故情報の共有はしていないとされています。実際、CGOに加盟する保証会社の申込書には、信用情報を共有する旨の記載がありません。
そのため、各社独自審査と言われており、例えば「Casaで滞納したことがあるけど、日本セーフティの審査に通った」というケースもあります。
CGO系で主要な保証会社と言えば・・・
- Casa
- 日本セーフティー
- 日本賃貸保証 JID
- フォーシーズ
審査難易度も各社大きく差があり、「ダメだろうな・・・」と思っていた方がすんなり審査を通過することもあります。
独立系保証会社
①~③で紹介したような団体に加盟していない保証会社です。滞納情報などを共有する術がないため、完全独自審査を行なっています。仮にこれらの独立系保証会社で事故(滞納など)を起こしてしまっても、他の会社での審査に影響はありません。
日本全国に大小さまざまな保証会社があり、地域密着型で運営しているところも多いです。一般的に審査は緩めの印象です。
北海道でよく利用される独立系保証会社と言えば・・・
- ほっと保証
- CIZ保証
- ハウスリーブ(大東建託系列)
北海道では『ほっと保証』が利用できる物件が比較的多い印象です。
保証会社は基本的に自分で選べない
このようなリストを作ると、「だったら審査が緩い、独自審査の保証会社が良い」という気持ちになると思います。しかし、基本的にどの保証会社を使うかを選ぶのは、入居者ではなく大家さん(管理会社)です。
入居者がバラバラの保証会社を使うと管理が大変ですし、その保証会社が信頼できるかどうかという問題もあります。そのため、「日本セーフティ―だったら通るから、使わせて!」というわけにもいかないのです。
大抵の場合(少なくとも札幌では)、その物件の管理会社が契約している保証会社での契約を求められてしまいます。
もっとも、管理会社側も入居率を上げるために、2社、3社と取引をしており、厳しい保証会社から順に審査をかけてもらえるケースが多いです。
おわりに
家賃保証会社もビジネスとしてやっているので、家賃滞納が続いて債務超過になってしまうと、会社を存続させることができなくなります。
「入居者が家賃を滞納するかもしれない」というリスクを負っており、実際これまでにも債務超過で倒産した保証会社は複数存在します。そのため、『一度滞納した人をまた保証する』というわけにもいかないのが実情です。
できることなら、家賃滞納を起こさないのが一番なのですが、仕事の状況次第ではなかなかそうもいきません。家賃保証会社自体は全国に数多くありますが、札幌でよく利用されている保証会社はそのうちのわずか6~7社です。
信販系の場合は、家賃滞納していなくても審査NGになることも考えられます。もし、どの保証会社も通らない。連帯保証人もいない。このままだと引越しができない。。。
そういう方がいたら、ぜひ一度当社にご相談ください。